2019年6月28日金曜日

山口県知事宛に、中国電力に対し工事竣功期間伸長許可を与えないよう求める要請書を提出しました

上関原発どうするの?〜瀬戸内の自然を守るために〜(略称:上関どうするネット)は、2019年6月10日に中国電力株式会社が山口県知事宛に提出した公有水面埋立免許の工事竣功期間伸長許可申請に対して、許可を与えないよう求める要請書を同県知事に6月27日付けで提出しましたので、ここに報告いたします。(なお、この文章のpdfは https://yahoo.jp/box/cGvC9u からダウンロードいただけます。)


村岡嗣政山口県知事 様


2019年6月27日
上関原発どうするの?〜瀬戸内の自然を守るために〜
(略称:上関どうするネット)
164−0011 東京都中野区中央2-48-4 小倉ビル1階
NPO法人原子力資料情報室気付(担当:伴英幸)


 私たちは上関原発計画の白紙化を求める首都圏の住民の集まりです。6月10日に中国電力(株)が知事宛に提出した公有水面埋立免許の工事竣功期間伸長許可申請に対して、許可を与えないことを要請します。

 その理由は以下の通りです。

1. 虚構の重要電源開発地点指定

 重要電源開発地点指定が現在も引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除は考えていないというのが経産省の「回答」ですが、経産省は「事情の変化がない」との判断について「事業者(中国電力)からの重要電源開発地点解除の申し出がない中で、その指定を国みずからが解除する必要はない」(2017年5月12日衆議院経済産業委員会における世耕大臣の答弁)としています。これでは、中国電力は政府が解除していないことを根拠に、政府は中国電力から解除の申し出がないことを根拠に引き続き有効としていることになります。両者が相手を根拠にしている状態では、虚構の「回答」と言わざるを得ません。このような虚構を伸長の根拠にすることは行政の不作為と言う他ありません。


2. 現状は重要電源開発地点指定の要件を満たしていません。
  • 指定要件の1)に事業者の供給計画に記載のあること、となっています。しかし、電気事業法第29条1項に基づき中国電力がOCCTO(電力広域的運営推進機関)に提出している供給計画において、上関原発は供給計画に入っていません。また、政府は第5次エネルギー基本計画において2030年時点の発電電力量における原子力の割合を20〜22%としていますが、この中に上関原発は含まれていません(新設なくても達成できると政府は述べています)。
  • 指定要件の4)に計画の具体化が確実な電源であること、となっていますが、中国電力の経営計画では着工時期や竣工時期は未定となっており、建設計画が具体的ではなくなっています。
  • 指定要件の5)に電力需給対策上重要な電源であること、となっていますが、上記OCCTOに提出した供給計画によれば、向こう10年間の需要予測は18年度よりも減少しています。この傾向は電力の自由化の進展の中で続くことになると考えられます。他方、供給力は島根3号炉の再稼働申請により大幅に増えることになります。もはや上関原発計画は需給対策上重要な電源ではなくなっています。
  • 重要電源開発地点の指定に関する規程によれば、指定要件の「いずれかに適用しなくなったとき、その指定を解除することができる」としています。上記3要件がすでに適合していないのですから、本来なら指定解除すべきところです。経済産業省が解除しない理由は上記1.で述べましたが、それは明らかに政府の不作為です。山口県知事としてこれを追認するべきではありません。

3. 09年の設置許可申請は事実上白紙に

 原子力規制庁によれば、13年に策定された新規制基準策定により、09年の許可申請では審議できません。2011年3月までに旧原子力安全・保安院において申請に基づく審査が行われ、一部地質調査の継続が指示されましたが、福島原発事故後は一度も審査されていません。原子力規制庁は、中国電力が審査を望むのであれば、申請書の出し直しか補正書を提出する必要があると述べています。以前の許可申請では審査される状態にないことが明らかであり、事実上の白紙状態と言えます。

 中国電力は2023年3月までの伸長を申請していますが、これまでの間に、上記2並びに3で述べた状況が変化し、上関原発建設へと向かう可能性は皆無と言っても過言ではありません。こうした現状を踏まえて県知事は公有水面埋立免許の伸長を許可しないことを求めます。


0 件のコメント:

コメントを投稿