2015年10月14日水曜日

愛媛県知事宛に、伊方原発3号機の再稼働を認めないよう要請書と公開質問状を送付しました

上関どうするネットは、2015年10月12日付で、愛媛県知事宛に、「伊方原発3号機再稼働は認めない 愛媛県知事の『不同意』表明を求める要請書」と、「伊方原発3号機再稼働計画にかかる『公開質問状』」を送付しました。以下に文面を掲載いたします。pdfの要請書はこちら(http://yahoo.jp/box/Cx7awx)から、公開質問状はこちら(http://yahoo.jp/box/X6yGsH)からダウンロードいただけます。

愛媛県知事
中村 時広 様
2015年10月12日
上関原発どうするの?~瀬戸内の自然を守るために~
(略称:上関どうするネット)
http://kaminoseki.blogspot.jp/
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL03-3357-3800 FAX03-3357-3801
原子力資料情報室 気付

伊方原発3号機再稼働は認めない
愛媛県知事の「不同意」表明を求める要請書

私たちは、山口県上関町長島での原子力発電所建設計画に反対して、2009年より主に首都圏で活動している市民のネットワークです。
2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故は、原子力発電が人々の安心・平和とは対極にある、あらゆる生命体と相容れない未完の核技術であることを世界中に知らしめました。首都圏に住む私たちは、それ以前から、瀬戸内海の環境を破壊し、国民の食生活をおびやかすおそれのある上関原子力発電所建設計画に反対してきました。福島の事故により原発事故の影響の甚大さを目の当たりにした3.11以後は、一層切実に原発の危険性を感じています。
私たちは、日本の原子力発電所が一日も早く全廃され、上関原発はじめ、新規の原発建設計画がただちに中止され、白紙撤回されることを今まで以上に強く望んでいます。脱原発依存、新規原発建設計画の中止は国民の大多数が求めていることでもあります。
日本の原発の中で唯一内海に面して建つ四国電力伊方原子力発電所の、半径30キロ圏(UPZ)には、山口県上関町八島も含まれます。伊方で福島原発のような事故が起これば、八島はもとより、間近に見える長島や祝島もまた、空と海から襲う放射能によって強制避難地域になる可能性があります。瀬戸内海は、停滞性が強く極めて浅い海であることから、海の放射能汚染が複数の周辺府県・自治体に与える影響は計り知れません。福島事故により、瀬戸内における伊方原発の意味が変わったのです。
私たち「上関原発どうするの?~瀬戸内の自然を守るために~」は、日本の至宝・瀬戸内海の自然を守り次世代につなぐためには、伊方原発による放射能放出の可能性をゼロにせねばならないという視点から、伊方原発3号機再稼働に断固反対の意思をここに表明するとともに、愛媛県はもとより周辺府県・自治体住民の生命と財産を守る観点からも、愛媛県知事におかれては、伊方原発3号機再稼働に関して、「不同意」の態度を表明されることを強く求め、本要請書を提出するものです。
合わせて、本件に関する真摯で公正な議論を望む立場から、「公開質問状」(別紙)を提出させていただきます。

【要請事項】
四国電力伊方原子力発電所3号機再稼働に関して、速やかに「不同意」とすること。

【要請の理由】
1.    東京電力福島第一原子力発電所事故はいまだ収束せず、放射能汚染・高レベル汚染水、12万人にも上る被災避難者、被曝労働と、問題が山積しているのが福島の現実である。しかも過酷事故を引き起こした原因・要因の特定はもとより、十分な総括や反省がなされないまま今日に至っている。こうした中、四国電力伊方原子力発電所再稼働計画が進んでいることは、あってはならない由々しき事態であり、決して容認できるものではない。

2.    原子力規制委員会の審査合格は、規制委が自ら認めているように安全の保障ではない。東日本大震災以来、地震や火山活動が活発化している。ひとたび大地動乱が起これば、原発震災=原発過酷事故を引き起こす原発再稼働は断じて避けるべきである。新規制基準では基準地震動の加速度を650ガルまで引き上げたが、他の原発において、基準地震動を上回る地震が過去10年間に5回も発生している事実に照らして、現状の基準地震動は、原発の耐震設計の基礎として、極めて不十分である。知事はさらに1000ガルまで引き上げるべく要請とされているが、現実には2007年に発生した新潟県中越沖地震(M6.8)での、柏崎刈羽原発1号炉での基準地震動に相当する解放基盤表面はぎとり波は1699ガルに達し、2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)では、それまで予測されていなかった活断層が動き、地表面で4022ガルを観測している。この事実に則して考察すれば、そもそも中央構造線至近に立地している伊方原発は、本来そこにあってはならない原発サイトである。

3.    瀬戸内海は、停滞性が強く極めて浅い海であることから、ひとたび伊方で重大きわまる原発事故が起きたら、海に直接降り注ぐ放射能、原発サイトから液体で流出する放射能の双方の汚染(プルトニウムの海底への沈着が大いに危惧される)はもとより、地表面へ降り注ぐセシウム134、137もまた川・湖を経て海を汚染し続け、瀬戸内海全域に壊滅的な被害をもたらすことになる。海流が一方向でなく、往復流であることも重なって、汚染の長期化は避けられない。太陽、月、そして地球の相互作用により形成される瀬戸内海の豊かさを台無しにしてしまう選択は、愛媛県がしてはならないことである。複数の周辺府県・自治体に与える影響は計り知れず、広域に及ぶ環境汚染により、農・林・漁業労働を奪うことになる。この意味で、唯一内海に面して建つ伊方原発は、本来そこにあってはならない原発サイトであり、事故に至らなくても恒常的に海の汚染を引き起こす原発の再稼働は断念するべきである。

4.    再稼働が目されている伊方原発3号機は、ウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料を装荷するプルサーマル発電を採用している。ウラン燃料を前提に設計された原子炉でMOX燃料を使用することは、もともと危険な原発をさらに危険なものにすることからも、3号機の再稼働は断念するべきである。MOX燃料を入れた原子炉とウランだけを入れた原子炉とで、運転サイクルの最後の時点で存在するアクチニドの量を比較するとMOX炉心の方が5~22倍も多くなると指摘されている(MOX燃料のプルトニウムの存在に起因)。MOX炉心のアクチニドの量が大きいということは、重大な封じ込め機能喪失事故から生じる影響(急性死や潜在的ガン死)が、ウランだけを使った原子炉で同様の事故が起きた場合と比べ、ずっと大きくなる可能性があることを意味している。

5.    伊方原発が立地する佐田岬を含めた愛媛県の空は、米軍の管制下にある。1988年には原発ドーム至近800メートルの山腹に米軍の大型ヘリが激突、炎上し、乗員7人が死亡する大事故が起きている。しかし、米軍は地位協定を盾に事故報告書すら公表しないまま時が流れている。事故が多発する米軍ヘリ、オスプレイの国内配備と、岩国基地への飛来によって、米軍機墜落事故の危険性は一層強まることとなる。しかし、この問題が1~3号炉の安全審査では全く無視されていることを、知事は深刻に受け止めるべきである。

6.    原子力規制委員会が定めた「原子力災害対策指針」では、従来、原子力災害対策重点区域として、 「原子力施設から半径5キロ」を目安として「予防的防護措置を準備する区域(PAZ)」を、「原子力施設から30キロ」を目安として「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)」を定め、かつ「UPZ範囲外であっても、その周辺を中心に防護措置が必要となる場合がある」「UPZ外においても防護措置の準備が必要となる場合がある」と定めていた。しかし、2015年4月22日に改定された同指針では、30キロの範囲外にかかる記述が削除されている。これでは、規制委をはじめとする政府関係機関は、原子力災害に真剣に向きあっているとは認められず、福島事故がもたらした広範にわたる被害現状と課題から何も学んでいないことになる。PAZ、UPZ圏内における避難時間を短縮する画期的な方法は見当たらず、とくに圏外とされた地域、自治体への事前・応急・中長期対策などに関する国などの支援にかかる記述がみられないままの原発再稼働は、百歩譲ってなお論外である。仮に原子力災害対策や避難計画が書面上充実したとしても、いざ事故になれば、整然とした避難など不可能であり、広範かつ甚大な被曝から免れないことは福島原発事故が実証している。 

以上

愛媛県知事
中村 時広 様
2015年10月12日
上関原発どうするの?~瀬戸内の自然を守るために~
(略称:上関どうするネット)
http://kaminoseki.blogspot.jp/
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL03-3357-3800 FAX03-3357-3801
原子力資料情報室 気付

伊方原発3号機再稼働計画にかかる「公開質問状」

私たち「上関原発どうするの?~瀬戸内の自然を守るために~」は、日本の至宝・瀬戸内海の自然を守り次世代につなぐために、四国電力伊方原子力発電所3号機再稼働に断固反対の意思を表明するとともに、愛媛県はもとより周辺府県・自治体住民の生命と財産を守る観点からも、愛媛県知事におかれては、伊方原発3号機再稼働に関して、「不同意」の態度を表明されることを強く求め、「要請書」(別紙)を提出させていただきました。
合わせて、本件に関する真摯で公正な議論を望む立場から、以下の「公開質問」にお答えいただきたく、本質問状を提出させていただきます。ご回答は、私たち「上関どうするネット」の今後の活動に活かしますとともに、引き続き知事との双方向の議論へと進めたく願っています(なお、私たちの公式ブログでの公開を予定します)。
ご回答は、ご多忙の折とは存じますが、10月31日を目途に、返信用封筒にてご返送の労をいただきたく、伏してお願い申し上げます。

【公開質問】(1~9:12項目)
1.    東京電力福島第一原子力発電所事故が収束せず、原因究明や被害者の賠償、責任者の処罰なども置き去りにされたままでの原発再稼働は、いったい許されるのでしょうか。(Q1-1)
10月6日に、市民団体が四国電力伊方原子力発電所の再稼働に反対する13万筆に及ぶ署名を愛媛県に提出したように、大多数の市民が原発再稼働に反対していることを、いったい無視してよいのでしょうか。(Q1-2)
さらに、福島原発事故とその後の国の対応を踏まえれば、原発事故の「責任」を取ることなど不可能だと私たちは考えますが、安倍総理は原発事故への「国の責任」を明言しました。安倍総理が明言した「国の責任」とは具体的にどのようなものでしょうか。(Q1-3)
原発再稼働問題でまず問われるべきこの3点について、知事の見解をお聞きします。

2.    近年、地震や火山活動が活発化しています。原発の耐震設計の基礎とされる基準地震動は、過去数十年の地震の平均像を元にしたものに過ぎず、将来にわたって発生が予想される地震の最大値ではありません。実際に、過去10年間に4つの原発サイトで合計5回、基準地震動を超過する事態が生じてもいます。つまり、原発の設備は、今後発生する可能性のある地震の揺れに耐えられるのかどうか、安全性が保証されていないのです。伊方原発から中央構造線までは約8キロ、1596年には中央構造線と連動する形で慶長「豊予」地震が起こり、伊方周辺に10~15メートルの津波が到来した可能性があるとされています。このことからも伊方原発は非常に危険な立地条件下にあると考えますが、知事は、この点についてどのようにお考えでしょうか。(Q2)

3.    愛媛県は、燧灘、伊予灘、そして豊後水道と多様な特性を有した内海を活かして、わが国でも有数の水産県を誇ってきました。しかし、仮に伊方原発が再稼働し、過酷事故が起きた時、海とのかかわりにおいて、愛媛県の水産業が壊滅的な被害を受けることは必至であると考えます。知事は、いかなる事態が発生することになるのか、具体的にどのようなイメージをお持ちでしょうか。(Q3)

4.    安全性も経済性も度外視、誤った国策=核燃料サイクル政策の末に生み出された余剰プルトニウムの、その消費策でしかない危険きわまるプルサーマル発電について、知事の見解を求めます。(Q4-1)
プルサーマルに関しては規制委員会も手をつけておらず問題になっています。最初に伊方原発でプルサーマルを導入する時には、愛媛県は検討委員会を設置、それなりに県としての審議の場、可否を問う場を経ています。福島原発事故の教訓を踏まえれば、プルサーマル導入について改めて県として独自の審査をするべきと考えます。知事のお考えをお聞かせください。(Q4-2)

5.    米軍ヘリの飛来、オスプレイの国内配備と、岩国基地への飛来によって、米軍機墜落事故の危険性は一層強まっています。ところが、この重要問題が1~3号炉の安全審査では完全に無視されています。このことについて、原子力安全を確認するお立場におられる知事の見解をうかがいます。(Q5)

6.    伊方原発は、東西に細長く険しい佐田岬半島に立地しており、重大事故発生時の対策、収束要員の支援や、肝心のUPZ圏内における緊急時防護措置においても、住民避難計画との整合は依然不明です。避難時間を短縮するとしているものの具体・画期的な方法が示されたとは認められません。加えて、UPZ圏外とされた、しかし事故発生時には甚大な被害をこうむることが予想される、瀬戸内の小島、離島などへの安全配慮について、知事はどのように考えておられますか。(Q6)

7.    川内原発の再稼働をめぐっては、薩摩川内市と鹿児島県知事の賛成表明だけで、あたかも周辺住民が合意したようにして再稼働への手続きにゴーサインが出されました。しかし、避難計画提出を義務付けている自治体には、再稼働の判断に関する当事者としての権限が与えられるべきだと考えます。被害についてだけ避難計画の策定を義務付けておいて、再稼働をめぐる選択では、何の権限も与えられないというのでは、すでに民主主義のルールから逸脱しているといわざるを得ません。この点について、知事のお考えをお聞かせください。(Q7)

8.    地方創生2法が成立し、愛媛県においても、それを促進するための計画策定や具体的な取り組みが始まっていると思います。地方創生と原発の再稼働は、到底相容れないものと私たちは考えます。福島原発事故は、「日本の原発でも、過酷事故は起こり得る」という現実を突きつけています。たった一つの発電所が事故を起こしただけで、国が兆単位の財政を発動して対処せねばならないような技術に、さらに依存していくことの愚かさは、通常の意識を有した政治家であれば理解できるのではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。(Q8)

9.    知事は、原発を稼働するとはいかなることとお考えでしょうか。生み出す熱量の3分の1を電気に変え、電気を供給するわけですが、これは同時に、新たな核分裂生成物(環境中に出れば、「死の灰」と言われる)を必然的に生み出します。福島事故では、原発サイトに存在していた核分裂生成物の1割に満たないものが環境中に放出しただけで、あれだけの被害を発生させました。関係者の死に物ぐるいの努力により、2011年3月15日ころを境に、さらなる悪化を防いだおかげで、あるところでとどまったのです。この経験を直視する時、私たちは、これ以上、新たに核分裂生成物をつくり出す行為は、もう卒業せねばならないと考えますが、そうした観点からも、伊方原発の再稼働の是非を考えるご意志はないでしょうか。(Q9)
以上

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