2023年11月22日水曜日

上関どうするネット 国会ニュース 第27号発行のお知らせ

上関どうするネットが、不定期に発行している「国会ニュース」の、第27号(2023/11/20号)を公開しました。pdf版は下よりダウンロードできます。ぜひご利用ください。
(画像に、代替テキストを入れました。)
https://drive.google.com/file/d/1nn-aHgdH-UkQDzR8vfnhM_CYsxOOt437/view?usp=sharing

上関原発計画地に中間貯蔵施設建設計画浮上―反対の声、広がる 原発頼みの地域振興でいいのでしょうか? 中国電力が原発建設計画のある山口県 上関町に対して、同社所有地に使用済み核燃料中間貯蔵施設(以後中間 貯蔵施設)の立地可能性調査の実施を提案したのが、8月2日のことでした。これは、町が、原発計画による交付 金が減少していることに対する新たな振興策を中国電力に求めたことに対する回答として提案されたものです。 西哲夫町長は議員 10 名からそれぞれ意見を聞いたのちに、調査の受け入れを表明しました。中国電力は「当社単 独での建設・運営は難しいと判断し」て、関西電力との共同開発を行なうとして、現在文献調査をしており、この 後物理探査やボーリング調査なども共同で実施する予定です。 中間貯蔵施設は関西電力のため? 実は、中国電力には建設を急ぐ理由は全くありません。使用済み核燃料の 貯蔵余裕が十分にあるからです。これに対して、関西電力は福井県から使用 済み核燃料の県外搬出を 90 年代から繰り返し求められており、ついに昨年、 2023 年中に搬出先が見つからなければ老朽原発3基(美浜3号機、高浜1号 機・2号機)を停止すると約束したのです。しかし、8月時点で搬出先の見通 しはありませんでした。今回の提案は関電救済のためと言っても過言ではあ りません。 中間貯蔵施設とは 中間貯蔵施設とは原発の使用済み核燃料を貯蔵する施設で、原発の敷地外 では青森県むつ市に建設された施設があるだけです(事業開始時期は不明)。 ここでは、使用済み核燃料を 10 体前後、輸送も可能な貯蔵容器に入れて保管 します。空気冷却で保管されるので、乾式貯蔵と呼ばれています。水中より長 期の貯蔵が可能とされています。 中国電力は、使用済み核燃料 2,000 トンを貯蔵できる設備を考えているよ うです。まだ、詳細な場所や時期などは明らかにされていませんが、予定地 には木々がびっしり茂っており、施設をつくるとなると大規模な伐採を行な い更地化する必要があります。また、3,000 トン級の船舶が着岸でき、100 トンを超える容器の吊り下げが行なえるしっかりとした港湾施設が必要になります。輸送トラックもそれに耐え るものでなければならず、道路も専用道路の建設が必要になります。しかし、これらの概要すらも示されないままです。 上関原発計画も中間貯蔵施設も NO! 上関原発計画は 1982 年に浮上した計画で、以来、地元の 祝島の漁業者や住民を中心に、漁場や生活を守るた めの強い反対運動によって、現在も建設に至っていません。福島原発事故以降の国の政策では、新しい地点での 新規原発建設が認められていません。昨年 10 月の町長選挙で当選した西町長が原発に代わる振興策を中国電力 に求めたのはこうした背景があると思われます。そもそも交付金頼みの地域振興で未来が開けるのでしょうか? 祝島の住民たちは、新たに浮上した中間貯蔵計画にも反対しています。環境の大きな変化、港湾建設が漁場に 及ぼす影響、さらに中国電力が上関原発計画を諦めていないことなどからです。 原発計画に反対して上関町を含む周辺2市4町の自治体議員らでつくる議員連盟は、上関町だけが決める問題 ではない、周辺自治体の意見も聞くべきだとして、それぞれの市町へ申し入れを実施し、またそれぞれの市町議 会で質問を行ないました。 議会での首長の反応 岩国市長 岩国市も含め地域住民の理解促進がないままに色々な手続きが進んでいくことが大きな不安を生んでいる と思っている。 柳井市長 上関町長には慎重さを求めた。国や電力事業者に説明を求めて徹底的な議論をしたい。 光市長 住民の声に耳を傾け安全安心の確保を念頭に注意深く見守る。これまで通り原子力施設に反対していく。 田布施町長 イメージが低下し移住定住が進まなくなる。現時点でメリットはない。国や中国電力からも具体的な説明 がなく、近隣市町の首長は対応に苦慮している。安全性の議論が尽くされた上で地域活性化策が示される べきであり順序が逆で非常に残念だ。 平生町長 将来にわたり町づくりに大きな影響があると危惧する。周辺自治体や住民にとっても深刻な問題で、子育 てや移住定住・教育の施策に影響は避けられない。 周防大島町長 パブリックコメントやアンケートなどで広く意見を集め、町の意思としての形につなげたい。 これらの不安に対して西上関町長は国や中国電力が説明すべきだ、とのコメントです。また、山口県は建設調査中なので見解を申し上げる状況にない、と質問をかわしています。 核燃料サイクル政策そのものがもはや行き詰っている そもそも中間貯蔵施設は使用済み核燃料再処理工場が計画通りに稼働できていないために必要になりました。 その結果、使用済み核燃料が各原発サイトで溜まり続けて、原発の稼働を危うくしつつあるのです。その結果とし て付け焼き刃的にサイト外に反対を押し切って施設を作ろうとするのは許されません。改めて、原子力政策全体の 中で、原発から撤退することを前提としたうえで、使用済み核燃料の扱いなどを見直すべきだと考えます。 生物多様性国家戦略を活かすために! 今年 3 月 31 日、「生物多様性国家戦略 2023-2030―ネ イチャーポジティブ実現に向けたロードマップ」が閣議決 定されました。このロードマップは、「陸と海の 30%以上 を保護区にする」という生物多様性国際条約の行動目標と して掲げられているものです。 上の図は環境省が 2016 年に抽出した「生物多様性の観 点から重要度の高い海域」の一部「長島・祝島周辺」の図 ですが、上記行動目標を達成するためには、こうした地域 を保全することが必要です。 そのためには、この地域の破壊を伴う上関原発計画も中 間貯蔵施設建設のための調査も白紙撤回するべきです。 上関原発計画・中間貯蔵施設建設をめぐる経過 1982 年             町長が住民の合意を前提に原発誘致を表明 1996 年 中国電力が山口県と上関町に原発建設を申入れ 2001 年 経産省が上関原発を電源開発基本計画に組入れ 2009 年             中国電力が上関原発 1 号機の原子炉設置許可申 請を経産省に提出 2011 年             東京電力福島第一原発事故を受け、中国電力が 工事中断/経産省、原子炉設置許可の審査中断 2022 年             10 月 上関町長選挙・町会議員補欠選挙、西哲 夫氏が上関町長に初当選 2023 年             8 月 2 日 中国電力が関西電力との共同による中 間貯蔵施設建設に向けた調査を町に申入れ 8 月 18 日 西哲夫上関町長が調査容認を表明/ 同日中国電力は文献調査を開始 8 月 22 日 中国電力は普通林の“伐採届”を上関町に提出 9 月 上関住民の中間貯蔵施設視察開始 【発   行】 上関原発どうするの? ~瀬戸内の自然を守るために~ (略称:上関どうするネット) 【連絡先】 E メール:dousuru_net@mail.goo.ne.jp 03-6821-3211(原子力資料情報室気付   担当:伴) ※お問い合わせはできるだけ E メールからお願いいたします。