2021年4月14日水曜日

経済産業省 資源エネルギー庁宛て「エネルギー基本計画見直し」に対する意見書

経済産業省 資源エネルギー庁に宛てて、「エネルギー基本計画見直し」に対する意見書を、
上関どうするネットとして2021年3月上旬に提出しました。意見書の PDF はこちらからご覧いただけます。
資源エネルギー庁のHPはこちらです。たくさん意見を送りましょう! 締め切りは未定のようです。https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/opinion/index.html


 
上関原発どうするの?~瀬戸内の自然を守るために~
エネルギー政策に関する意見
 
 1982年に浮上した原発計画(山口県上関町)が未だに建設に至っていません。その最大の理由が漁民ら地域住民の強い反対です。豊かな漁場を漁民たちは必死に守っているのです。2009年に設置許可申請が原子力安全・保安院(当時)に提出されましたが、2011年の福島原発事故によって中断して現在に至っています。そしてこの計画は新設計画と位置付けられて現在に至っています。

 原発立地計画が浮上すると地域内では激しい諾否の対立が起こり、それは長く続きます。あたかも地域を「ブルドーザーで蹂躙する」ようなことが起きるのです。対立や溝は深まり、計画が実現した地域では対立が人々の内側にこもり、白紙になった地域では修復に多大な努力と長い時間が必要です。
 
 第5次エネルギー基本計画には原発の新増設やリプレースが盛り込まれませんでした。もし仮に、盛り込まれていたら、原発建設計画が強く進み出すことになったでしょう。漁民を苦しめ、地域での対立や亀裂を深めることが避けられました。第6次エネルギー基本計画について、梶山弘志経済産業大臣は2030年時点では原発の新増設は想定していないと明言されていますが、その姿勢を是非とも堅持して頂きたいと願っています。
 
 さて、上記は個別の事例ですが、日本のエネルギー政策を考える上で重要です。福島原発事故を経験した日本では、世論の過半が原子力からの撤退を求めています。例えば、原子力文化財団が2019年に実施した世論調査では、即時廃止すべき並びに徐々に廃止してくべきと回答した人は合わせて60.6%に達しています。他方、増やしていくべきと回答した人は2.0%、事故前の状況を維持すべきは9.3%でした。
 
 2050年カーボンニュートラルを実現するために「グリーン成長戦略」が提案されています。これによれば、化石燃料の直接消費を主として電力に切り替えていくために電力消費が大幅に増加することを想定し、これを達成するために、再エネ5〜6割、原子力と化石燃料+CCSで3〜4割、そしてアンモニア10%としています。再エネ100%が非現実的などと補足しています。しかし非現実的なのは原子力の新増設やCCSの実現の方だと私たちは考えています。CCSは未だ実用化されていない技術ですし、貯留場所が決まらずコストもどの程度高くなるのか未知とされています。原子力は上記世論調査が示すように、合意を得ることは難しいと考えられます。そのうえ原子力発電は以下の未解決の問題やリスクが伴います。
  1. 原子力発電は、どれだけの対策を取っても事故リスクから逃れることはできません。それだけでなく、伊方原発や大飯原発に関する裁判の判決を見ると、規制基準を仮にクリアしていたとしても事故リスクが考えている以上に高い可能性があります。福島原発事故と被災地の終わらない現状を見ると、重大事故の再来は悪夢というほかなく、さらに数十兆円の負担は日本経済の破綻を招く恐れが高いと言えます。
  2. 高レベル放射性廃棄物に代表される使用済核燃料の後始末は、狭い地震国日本では原子力利用を続けながら、処分地選定への合意が得られる見通しがありません。高レベル放射性廃棄物のみならず、廃炉に伴い発生する膨大な放射性廃棄物(L1〜L3)の処理・処分も未解決の課題です。
  3.  福島第一原発の廃炉には建前上40年の期間が想定されていますが、40年後に廃炉が完了するという確証はありません。さらに、廃炉作業で出ている放射性廃棄物(約800万トンに上るとの評価がある)の搬出先が決まっていないし、県外の搬出先は決まらないと考えられます。
  4.  福島第一原発の事故後、原子力発電の安全確保のための追加経費は増大しており、建設予定地の確保から廃炉、使用済み核燃料の後始末までの費用を踏まえるとすれば発電単価が「安い」は過去の評価であり、現在では、経済合理性を持ち得ていません。 
 一方で再生可能エネルギー導入への動きは急激であり、RE100を目標とする企業は増え続け、自治体での再エネ導入の動きや地域での再エネ発電の動き、再エネ小売事業も活発です。私たちはこうした動きを助長し再エネ100%へと引き上げていくのが政府の政策だと考え、これを第6次エネルギー基本計画に盛り込むことを求めます。さらに、グリーン成長戦略が言及しているように省エネが非常に重要な役割を果たすと考えます。現行の需給見通しでは省エネを17%としていますが、さらにいっそうの省エネをすすめることを期待します。




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