立憲民主党エネルギー調査会第7回「原発立地地域等で活動する皆様との意見交換会」報告
立憲民主党エネルギー調査会の第7回「原子力発電所立地地域等の皆様との意見交換会」が2018年2月14日(水)の17時から衆議院第二議員会館で開催されました。
今回のテーマは上関原発と伊方原発で、「上関どうするネット」も積極的に参加しました。
「上関どうするネット」が推薦した3人のスピーカーがそれぞれの観点から上関原発と伊方原発の問題点を「原発ゼロ基本法案」を策定された立憲民主党の国会議員さんや参加者にお話し、原発建設に伴う地域分断へのフォローアップ政策の必要性など多くの意見が出されました。
詳細は、以下を見てください。
動画もアップしてあります。配付資料の一部はこちらからダウンロードいただけます。以下のユープランさん撮影の動画中に全ページおさめられています。
https://www.youtube.com/watch?v=FdPqdIqp-ek
[以下、詳細]
■立憲民主党エネルギー調査会
第7回・原子力発電所立地地域等の皆様との意見交換会
<上関原発について>
安藤公門さん(いのち・未来うべ代表)
伴英幸さん(NPO法人原子力資料情報室共同代表、「上関どうするネット」メンバー)
<伊方原発について>
湯浅一郎さん(NPO法人ピースデポ共同代表、環瀬戸内海会議共同代表)
■当日の参加者(敬称略)
・一般 27名
・報道 5名
・議員本人 10名
(菅直人、山崎誠、生方幸夫、近藤昭一、江崎孝、日吉雄太、宮川伸、大河原雅子、横光克彦、落合貴之)
・議員代理 9名
(佐々木隆博、川田龍平、長尾秀樹、道下大樹、中谷一馬、堀越啓仁、阿部知子、池田真紀、逢坂誠二)
・上関どうするネットメンバー 10名弱
・参加者総数は約60名
■立憲民主党の原発ゼロ法案の説明(山崎誠衆議院議員)
・配布資料参照。
■安藤公門さんのお話(上関原発を建てさせない県民連絡会 事務局次長)
・祝島の現状
80代の方たちを始めとして、10億8千万円の漁業補償金を受け取っていない。
中電は高齢化、時間が経つのを待っている。
祝島の人たちの生き方に触れて、若い人が増えている。
島民の会の青年部ができた。
・原発ゼロを実現する過程で、原発立地地域をこれからどうするのか。
原発という技術は、人類は制御できない。
祝島のかなりの人が原発で働いたことがあって、危険性を熟知している。
持続的で自立的な地域の発展のための産業が不可欠
特に一次産業とそれを支える自然環境は生存の基礎である。
・原発は地域振興にとって百害あって一利なし。
どうやって回復自立するか、追い込んだ国の責任もある。
原発ゼロ法案=立地自治体開発促進法(基本的体力の回復)というべき性格が必要。
もう一度地域を作り直すということを基本に据えて、新しい流れを作る必要がある。
■伴 英幸さんのお話(原子力資料情報室 共同代表、「上関どうするネット」メンバー)
・なんとか原発ゼロ法案を成立させたい。
・上関どうするネットの一員として報告したい。
・上関原発計画の概要。(配布資料参照)
・建設計画の流れ。(配布資料参照)
・用地買収が終わっておらず、その見通しもなかったのに、経済産業省は電源開発基本計画に組み入れた。それによって交付金が出るようになった。
・土地を売らないと表明していた四代地区の宮司さんを神社本庁が解任して買収を強行した。
・電源開発基本計画のもとになっている電源開発促進法は2003年に廃止された。
ただ、電源開発促進法の廃止前の電源開発基本計画は閣議了解されたので、それを上関原発建設の根拠にしている人たちもいる。
・野田政権は、新設を認めないと決定した。
・安倍政権も、可能な限り原発を低減させるとしており新設を認めない方向と解せるが、中電は建設計画を撤回していない。
・中電は「エネルギー基本計画の中で新設が位置付けられないと計画の続行は難しい」と言っている。
・エネルギー基本計画の行方は、微妙である。
・原発ゼロ基本法の成立ととも関連法の改正、廃止も必要である。
■湯浅一郎さんのお話(ピースデポ 共同代表、環瀬戸内海会議 共同代表)
・2011年、たった一つの工場の事故が数十兆円という国費を投入しても対処しきれない損害をもたらすことが実証された。
・伊方原発で福島のような事故が起きたら、八島、平郡島(いずれも伊方原発から30キロ)、祝島や長島(いずれも40キロ)、などを含む50キロ圏が強制避難地域になる。
・瀬戸内海は、地中海に比して10倍、20倍以上の生産性がある。
・瀬戸内海の豊かさは、太陽と月と地球の相互性によって作られている。
・海を媒介として数千年以上にわたり近畿圏と大陸をつなぐ重要な役割を果たしてきた瀬戸内文化圏にとって、漁業が半世紀以上にわたり操業できないことは文化圏の死を意味する。
・原子炉を動けかすということは新たに死の灰を生み出すことであり、原発が作り出す熱量の3分の2を温排水として海に捨てることである。
・生物多様性基本法、循環型社会形成推進基本法は、あらゆる領域の施策について常に優先させなければならない。
生物多様性、循環型社会に照らして原発を推進することはどういうことなのかということを主張していく必要がある。
・生物多様性、循環などをキーワードに原発ゼロ法案を評価し、公共政策をチェックするという手法が、近未来の人類のありようを決めていくことになるはずである。
■会場からの声
・大分が地元だが、大分は祝島に近く、伊方原発についても敏感である。
祝島の神舞は、大分でもよく報道されている。
非常に心配である。
山口県民大集会に参加したい。(横光克彦衆議院議員)
・最近地元ではどういう動きがあるのか?
→ 今回も祝島の若い人を誘ったのだが、今はひじき漁の季節なので参加できなかった。びわ茶は闘いの中で作られた特産物である。・中電の原発は沸騰水型でプルサーマルも行うのか?
祝島には今飲食店は3軒ある。
若い人が移住して、小学校をどうするかという話になっている。
いろんな動きが始まっている。(安藤さん)
→ 沸騰水型である。現時点でプルサーマルの具体的な計画はない。(伴さん)・伊方原発は加圧水型でトリチウムを大量に放出するとのことだが、伊方原発周辺での白血病の発生などの調査はされているのか?
→ トリチウムの問題は、推進側は何も問題がないと言い続けている。・祝島では70代、80代の女性が反対運動の中心になっていると聞く。
伊方での人体への影響調査はなされていないと思う。
なんらかの調査の結果が出たということは、聞いたことがない。
80年代の前半にかなりの種類の魚が大量に死滅して海に浮いたことがある。
トリチウムの問題ではないかと推測している。
トリチウムは、免疫機能を低下させる。(湯浅さん)
上関原発計画が表面化してから35年間になる。
35年前というとこの方たちは40歳前後だったはず。
人生をかけて反対してきて、まだ反対しなければならないのか。
原発は立っていないけれど、原発現地であり、地域の分断もある。
「新増設・リプレースは、当然認めない」という法案にとどまらず、地域の分断をケアするような十分な手当てや地域のまとまりを作るような政策を今から構想していただきたいと強くお願いしたい。
・伊方の差し止めで賛成派の方にどういう影響が出ているのか?
原発ゼロが進んだ場合、立地現地の方はどういうことを求めているのか? (宮川伸衆議院議員)
→ 状況をつぶさには把握していないので明確なことは言えないが、広島高裁の決定が現実に影響を生み出すところまではいっていないのではないか。秋には決定がひっくり返される可能性もあるので。・原発ゼロというのは、エネルギーの民主化だと思う。
ただ、伊方の地元で原発が止まって生活上困る人はそんなにいないんじゃないか。
町の行政としては40年間交付金、みかけのお金が入ってきて、増設をしないと町の財政が成り立たないような構造を作られてしまった中でどうやって生きるかということは町の行政に携わっている立場の人たちは考えざるを得ないという側面はあるだろう。
基本的には一次産業を中心にして自立して生きて行くという道をどうやって作っていくのか、それは必ずしも原発のあるなしに関わらず日本全体の地域と都市の構造の問題であり、そのうちの一つとして原発の問題もある。
そのことにみんなが直面するためには、原発が止まる必要がある。
広島高裁の決定は火山の噴火の問題だけだったが、一番重要なのは原発のすぐそばに中央構造線があるという問題で、訴訟の中で議論されることが今求められている。(湯浅さん)
小さい地域でエネルギーを回すしくみができるといい。
原発ゼロ法案の中に再エネの強力な推進というのがあるが、再エネの大きなプラントを作るために人に引っ越しを迫ったり、山を削ったりしてはならない。
環境負荷の視点と、エネルギーを大きな会社から自分のものにするという思想がほしい。
・伊方で吹く風は阪神への影響が大きいのか?
大気汚染防止法は放射能が対象になっていないようだが、どう考えるか?
→ 伊方や玄海で事故が起これば、関西に放射能は流れる。・原発は、国策民営でやってきた。
海も西から東に移動している。
水質汚濁防止法や大気汚染防止法は、確かに放射能は対象になっていない。
(湯浅さん)
国策でやる中で地域の分断を放置してきたという国の責任は大きい。
国策として原発をやめるのであれば、そういうことを放置してきたことを謝罪するとかきちんと認めるということがなければならない。
原発は産業誘致の形を取りながら都市の電気を作るという人の少ないところに危険を押し付けてきた。
国策として行ってきたのだから、原発ゼロを国策として実現する際もこれらのことをきちんと議論して行かないといけない。
→ 丁寧に議論し、今後の政策展開を工夫して行きたい。(山崎誠衆議院議員)
以上
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