ひとつ前の記事に続き、2021年7月4日に当ネットが開催しました「緊急オンラインリレートーク 上関原発お断り! 海上ボーリング調査の中止を求める!!」での、戸倉多香子さん(山口県議会議員、戸倉さんのウェブサイトは https://tokuratakako.jp/ )のトークの書き起こしを、戸倉さんから了解いただき、掲載いたします。トーク全体の録画は https://youtu.be/5AsuKNwbjjo にございます。
山口県議会で上関原発計画を追及
戸倉多香子(山口県議会議員)
山口県議会は定員47名ですが、現在欠員が3名あります。所属の内訳は自民党系の会派26名(会派名:自由民主党)と2名(会派名:自由民主党新生会)、公明党5名、私たち民生会(立憲民主党と連合推薦の議員)4名、日本共産党2名、社民党・市民連合2名、1人会派の方が3名(新政クラブ、草の根、県民の誇りを育む会)となっています。
野党系は44名のうち9名ですが、その中で上関(かみのせき)原発に明確に反対を打ち出しているのは6名です。この6名で毎議会、上関原発建設計画のことを取り上げています。
今回は、先の六月定例会で一般海域占用許可のことについて取り組んだ報告をします。
議会開始は6月23日。28日に代表質問があり、29日に私、30日社民党の中島さん、7月1日共産党の藤本さんと社民党の宮本さんの順に一般質問に立ちました。
私は、「6月11日に許可になった一般海域占用許可については許可要件を満たしていないので取り消すべきだ」ということを主張しました。その理由としては、知事が2016年に延長許可を出した公有水面埋立免許の延長許可と、その時には設計概要の変更も出されています。このこと自体私は違法だと思っていますけれども、百歩譲って公有水面埋立免許の延長がなされていることを認めたとしても、今回の一般海域占用許可については許可要件を満たしていないのではないかと主張しました。
一般海域の占用許可の基準は「一般海域は公共用物として天然の状態において一般公衆の自由な使用に供されるべきものであるので、原則としてその占用は認めるべきではないが、社会経済上必要やむを得ない場合にはこの基準に従って許可するものとする」となっています。上関の現状についてみると、知事が2016年と2019年に埋め立て免許の延長許可を出されたとき、免許と同時に、今すぐ工事に着手しないでほしいという要請書を出されました。その内容は、まだ着手については明確になっていないということですごく矛盾していますが、その要請文の中で、「上関原発建設計画の現状については、上関原子力発電所の建設については原子炉設置許可申請にかかる国の審査会合が福島第一原子力発電所の事故以降開催されていない状況である。そして中国電力の電力供給計画において上関原子力発電所の着工時期が未定とされている状況である。そしてその状態がここ何年も変わらず続いている状況である」ということを県自らが明らかにしています。こういった状況で認めているのはおかしいのではないかと主張しました。
更に国会の状況も「現時点において」という前置きはついているけれども、「原発の新増設、リプレースは想定していません」と経産大臣が何度も答弁しています。そして副大臣だったと思いますが、「上関原発については新設に当たる」ということを明確にされています。そのこと自体が、2021年6月11日の許可された時点ではこういう状況なんだということを主張しています。
それは申請を出された時点でもそういう状況に変わりがなく、重要電源開発地点の指定を仮に何も変わらない状況なんだという確認を国から取れているということがあったとしても、現時点ではまだ着工できる状況ではなく、新増設は想定されていない、その新規制基準の基準についてさえ何もまだ決まっていないという状況です。すなわちすぐ着工できるかどうか分からない状況であり、そのためのボーリング調査が今回の一般海域占用許可の許可要件を満たしていることにならないのではないかということを主張しました。
ただ、残念ながら山口県ではなかなかこういうことは認められません。
翌30日は社民党中嶋県議でした。中嶋県議は「漁協の同意書が付いているがそれは四代(しだい)支店のものではなく、山口県漁協の同意ですね」と部長に確認した上で、「山口県漁協には祝島(いわいしま)支店の漁師の方々も入っているが、その方々は何も聞いていない、説明も相談もされていない、これをどう思うのか」という質問をされました。これは注目すべきものだったので、私も次からは追求していきたいと思いますが、県の答弁は「このたびの占用許可については利害関係人である山口県漁協の同意が添付され許可に適合している」というものでした。
その次の共産党の藤本県議は今回のボーリング調査を中電がすることについての法的根拠をどう考えるかということを聞かれ、土木建築部長は原子炉規制法だと答えました。しかし、これまで県は、今回の一般海域占用許可は原子炉規制法とは法体系が違うのでそのことを審査しているわけではないと言ってきました。にも関わらず、中電がボーリング調査をすることについては原子炉規制法だという答弁をしています。おかしな話でまたしつこく聞いていきたいと思います。
最後に、社民党の宮本県議がヒガシナメクジウオなど自然の問題を取り上げられました。「事業者の中国電力の環境影響評価は20年以上前のデータであり、瀬戸内海の状況は20年前とは激変している。『レッドデータブックやまぐち2019』に記載されている希少生物の生息環境を含め、希少生物の存在を県は確認されたのか」質問されました。県の答えは、「上関原発の建設予定地周辺の希少生物の生息環境を含めその存在についての確認は事業者である中国電力の責任で行われるものであり、県が自ら確認することはしておりません」という許しがたいもので大変残念な感じがしています。
公有水面埋立免許のことについても、こういう状況の山口県議会なのでやっても無駄でないかという気持ちになることもありますが、議事録に残し続けることで、多くの方に知っていただき、知事や県が答弁していることが法的に正しいことなのかどうかいろんな裁判にも活用していただくことができます。私たちはこれからもしつこくこのことを確認していきたいと思っています。
私自体が伊方原発山口裁判の会の事務局のお手伝いもしていて、避難計画のことも今回取り上げました。そうしたことをこれからも続けて、子どもたちの世代にきれいな海をしっかりと、豊かな海をしっかりと残していきたいと思っています。
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